不登校教育フォーラム2021
不登校に関するイベントが開催されるということで、申し込みをして参加して来ました。
参加できる定員は30名。
申し込んでから数日後、申し込み枠も満席となっていました。やはり関心を持っている人が多いのかな。
各地で開催が予定されているようです。すでに満席の所が目立ちますね。
今回は、このフォーラムに参加した感想をお伝えします。受け取り方は人それぞれですので、途中途中で私個人の考えや意見を含みます。その点に関してはご了承ください。
最初にお伝えしておくと、私は「学校には無理してまで行く必要はない」「行きたくないのなら、行かなくて良い」と考えています。子ども自身が自分の意思で「行きたい!」と思っていない限りは。こちらが前提です。(不登校の息子と接してきた親として)
いざ、会場へ
会場となるメルパルク京都
今回は、同じく息子さんが不登校のお友達と参加。電車移動でしたが、京都駅周辺、人がかなり多かった!
申し込みをした時には全く気にしていなかったのですが、どうやら主催は「青山高等学校」という全寮制の学校だったようです。
これがのちに、少し違和感を感じる原因となる…。
大きなプロジェクターが設置されており、席数はきっちり30席。受付時間を過ぎると、パラパラと人が集まりだしました。
Zoomを使ったリモート講演
挨拶の後、三重県にある青山学院高等学校とリモート接続し、不登校教育研究を15年されている、”不登校教育チーム主任”の方のお話が始まりました。
体験トーク
不登校経験を経て、実際に青山高等学校に通っている学生2名(男女)の体験トークが聞けました。事前に質問したい内容を伝えておけば、それに対しての本人たちの回答も聞けるというもの。(当日にも、質問を受け付けていました)
男子生徒は、不登校時はずっとゲームをして昼夜逆転していたそうです。息子と一緒だなぁ。
- 不登校になったきっかけは?
- 学校に行かない間、家で何をしていた?
- 外出が出来なかった理由は?
- 親に言われて嫌だったこと、嬉しかったこと。
- 新しい学校が出来るとして、どんな学校だったら行きたくなる?
- 不登校を抜け出したきっかけは?
講師の方の質問に対してインタビュー形式で話は進みます。これはとてもよかった!原稿を読み上げるのではなく、学生本人、不登校経験当事者の生の声が聴けた気がします。
参加者からの質問からは、「どうやったら勉強をするようになるか」という質問も多かったようです。
個人的に勉強がすべてではない(やれるにこしたことはないけれど)の立場からすると、まだ「勉強(学業)」にこだわっている保護者がいるんだな、という印象を受けました。
大学に進学して、より良い会社への就職、もしくは公務員へ。そして一生安泰…なんて時代はもう神話になりつつあるのでは??
印象に残った言葉
学生からのお話で、印象に残ったのは
「やれ!やれ!」と言われても無理。自分のタイミング、自分からやろうとしないとやらない。親として出来ることは、色んな経験やチャンスの「カード」を持っておいて、それを出していく。でも、それもすべて断られたら「タイミングが今じゃないんだ」と思ってほしい。今無理でも、1ヶ月後なら受け入れられるようになっているかもしれない。
なるほど~
当事者(子どもの立場)からの意見はとても参考になりますね。
増え続ける不登校 合計18万1272人(過去最高)
文部科学省の「令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」(P68~)によると、不登校の人数は過去最高の18万人を超える人数となっています。
学年別にみると、中学校に入ったタイミングで大幅に増加しています。小学校→中学校の環境変化が関係しているのかもしれません。
※参加した不登校フォーラムで配布されていた資料には、上記折れ線グラフと全く同じものが掲載されていましたが、「令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」よりと記載があったので『令和元年度の資料ではないのか?』と疑問に思いました。帰宅後に見直した時に気付いたので、メールにて問い合わせ。
掲載日付が令和2年度となっていたからかもしれませんが、それはそれで誤解を招きますよね。不登校で悩む方々には正しい情報を提供して欲しいものです。
スマホ・ネット依存について
不登校になると、時間が有り余るほどあるのでネット・ゲーム依存になるという話を聞きますが、時間があるからゲームをする、という訳ではないそうです。
- 学校を休んでいる(このままでは進学できないのでは?友達に何て思われているか)という不安
- あおられる(身内や教師からの学校に行って勉強して欲しい、行かないと将来が…と言われる)不安
この2つの不安から逃れるために、逃げ道としてネットやゲームをしてしまうとのこと。
2つめの「あおられる不安」は主に身近にいる保護者から受けることが多いようです。(一部先生も)どうしても「学校に行って勉強して欲しい」という願望が意識していなくても伝わってしまうのかもしれませんね。
不安から逃れるために
その不安から逃れる為に、ネット・スマホゲームを始めいずれは依存に。スマホやゲームは、いわゆる製作者からすると「ビジネス」です。
いかに長時間遊んでもらって、お金を使ってもらうかが目的なので、熱中するように作られています。
大人でも依存する人がいるのだから、子どもが熱中しないわけがない!!
そのせいで昼夜逆転ということもあり得ますが、昼夜逆転に関しては「夜になるとゲームをする人数が増えて、強い人と対戦できる」というメリット(?)もあるそうです。
例にもれず、我が息子も昼夜逆転しています。その理由は、「海外の人とやり取りするから」でした(時差の関係で)。海外の人とやり取りすると、英語にも興味を持ち始めていたので、悪い事ばかりじゃないよなぁ、というのが個人的感想。
ゲームを悪としたい人は多いようですが、e-スポーツもあるし「プロゲーマーになれば、規則正しい生活をしないと集中力が保てないから、整った生活をされている」という話を息子から聞きました。ゲーマー=ネット廃人・悪いというイメージは大人が作り出したものかもしれません。
制限をすればするほど、やりたくなる。何としてでもやろうとする。
それなら、と我が家では制限を設けなくなりました。子どもも、自分もその分ストレスが減った気がします。
ある時「なぜゲームをするの?」と息子に聞いたことがありますが「別にゲームをしたい訳じゃない。ゲームより楽しいことがないからだよ」との言葉が心に残っています。
そして、「みんなそうなんじゃない?」と。
そう言っていた彼は、今でもネット上の友達と楽しそうにやり取りをしています。リアルな友達よりも、ネットでつながった友達の方が多い。どこで出会った友達であろうと、本人が楽しいならそれでいい(^^)
お家の方へのアドバイス
学校に関することを言わない・急かさない・不登校扱いしない
例)「まだゲームしてるの?学校も行ってないのに!」
と、何かにつけて言わなくていいことまでプラスして言いがち。だって、その方が相手に心に刺さるから(伝わる、という意味ではなく)。でもそれって、罪悪感を植え付けるだけで、全くの逆効果です。
心理的なプレッシャーを与えない期間を設けることが大切だそうです。これは納得。追い込むだけで、何の改善にもなりません。
一緒に活動する
こちらも大いに賛成です。
「学校を休んでいる」ということを一旦忘れて、子どもの趣味や好きな事に親も興味を持つことで関係性が変わってきます。
ゲームやアニメ、動画や漫画。音楽・読書etc…
「どんなゲームしてるの?」「いつもそ音楽聴いてるけど、誰の歌?」と。
自分の好きな事に興味を持ってもらえると、なんとなく嬉しいですよね。ゲームだと、「ちょっとやってみたいから教えてよ」なんて教えてもらったり。子ども自身が、教える側になるんです。
「子どもがゲームばかりしている」というお母さんに「一度一緒にやってみては?」とお伝えすることがありますが「私、ゲームできないから…無理」と断る人が多いです。分からないからこそ、聞いてみると子どもが一体今どんな事をしているのか、雰囲気が分かります。
実際にできなくても、どんなことをしているのか、聞いてみるんです。
友だちとオンライン対戦中だったらすぐには終われない、ボイスチャット中だったら静かにしてほしい。ボス戦だったらなおさら、「ご飯できたよ」と言われてもすぐには食卓につけなかったりします(笑)
息子には、マイクラを教えてもらいました。私は操作が下手なので、ゲームの中では息子が助けてくれます。同じ家の中で、オンラインで同じワールドに入り、一緒に家を建てたりもしました。結構、楽しいですよ(^^)♪
未来の居場所探し
子どもに合った場所は必ずある。実際にその場に行って、そこに居る子と触れ合えるとなお良い。
「1年後、私はここで頑張るんだ!」とスイッチが入ることがあります。希望のある未来をみせてあげて下さい。
との資料。
いったいどこの居場所のこと? と思いました。
講師の方は、
「不登校から抜け出すきっかけで最も多いのは”進学”を考えた時です。その時に、オープンキャンパスに参加しましょう!オープンキャンパスへの参加が、不登校を抜け出す最初で最後のチャンスかもしれません!」
と言われました。
それまでたくさんメモを取っていた私の手が止まります。
「ん?結局学校に行く事がゴールなの?」
「外出させるためには…」「学校見学に行かせるためには…」という言葉が続きます。本人の意思はもちろんだけど、学校見学に行かせるための誘導って必要???
学校が主催しているからか「やはり学校に来て欲しい」んだなと感じました。全寮制のメリット(ゲームなどの環境がない、登校圧をかける人もいない)で心機一転再出発ができる!みたいな。
もちろん、その環境は素晴らしい。他にも良い点はあると思います。でも「学校に行く」ことがゴールになってしまったら、「行かない子」はどうなるんでしょう?
オープンキャンパスに参加することが「最初で最後のチャンス」と言うなら、参加できなければ終わりですか?
そんな風に受け取られても仕方のない内容でした。
今まで聞いた話が良かっただけに、非常に残念。
進学には、通信制の高校もあります。我が家はそちらを選びました。
親が「見学に行かせなければならない」という思考にならないことを願うばかりです。
行っても行っていなくても大事なのは「本人の存在」
学校に行っていても、行っていなくても、子どもの価値は変わりません。
一日ゲームをしていようが、ゴロゴロしていようが、同じです。
そこにいるだけで、生きているだけでその存在に価値があります。
「○○が出来るから」という条件付きの価値ではありません。
将来、自立できるか?仕事に就けるか?
そんな不安は親につきまといますが、そんなことその時にならないと分からないんです。
それなら、今、本人の興味のある事を少しでも体験してもらって、小さな失敗も繰返して、たくさんの経験をして欲しい。色んな人と関わって欲しい。それって、学校じゃなくても出来ること。
ゲームをしている子どもを見てイライラしてしまうなら、親も自分が楽しいと思えることをしましょう。少しは気が紛れますよ。
自分が楽しめることを楽しんで、そんな姿を見せて、「大人になるって楽しいんだよ」という「未来への希望」を見せて欲しい。
未来へ希望を見いだせない10代・20代の自殺者数も増えています。
そんな子どもたちが一人でも減るように。
私たちが楽しんで、「こんな大人になりたい」と思われる人に。そんな仲間作りも進めています。
今回のフォーラムに参加して、子どもへの接し方で学べた部分もありました。でも、疑問に思った箇所もありました。
一体、どこを目指すのか?
・・・どこでもなく、生きてくれているだけで、いいんですよ。
今回、参加してみて
不登校の人数は年々増えているということ、学校側も色んな取り組みをしていること、親の接し方で関係は変わってくることなどを学びました。
様々な意見があるとは思いますが、自分に響いて、必要だと思った箇所だけ良いとこどりできる思考も大切です。
「必ずこれで大丈夫」という正解が1つな訳ではありませんし、何かうまくいかなくても、またその時に違う道へ進めばいいだけです。
過去は変わらないけれど、未来は自分自身で変えて行けます。遅いも早いもありません。捉え方でなんとでもなる。
自分自身の経験も含めて発信し、色んな人に知って欲しいと思います。
おしまい
おまけ
事前に資料配布で届いた「不登校レポート」と会場でもらった冊子。
こちらにも、「高校進学は最大のチャンス!」との項目が。残念でなりません…。